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名古屋「ちくさ正文館」に行きました

2017.10.15 |

写真集『狼煙』が完成し、次なる仕事は販売です。道音舎にとって、『狼煙』は初めての刊行物である上に、取次を経由しない直取引。はたして書店さんは仕入れてくださるのだろうか。制作途中からうっすら不安に思ってはきましたが、日々の作業に追われて、そこにはまったく取り組めませんでした。

名古屋に行ったのは9月末のこと。ライター仕事を請け負っての出張です。出版社の方から発注のメールをもらった時、「きた、名古屋!」と喜びました。名古屋にはちくさ正文館という老舗の書店があり、古田さんという名物店長がいることで知られます。
できれば行ってみたい。
書店さん向けに作った『狼煙』の資料をかばんに入れて、いざ東へ。

翌日、思ったより早く取材が終わったので、帰り道にちくさ正文館本店へと向かいました。人生初のアポなし飛び込み営業です。
場所は地下鉄東山線、JR中央線の千種駅から歩いて数分。店内に入ると、「あ、ここは好きな本屋さん」と頭の中でスイッチがONになった感じです。文芸書や人文書、芸術書の品揃え、ジャンルに応じた棚の作り方、見せ方。照明や空間の加減、本の匂い。垂涎ものです。

2階には「モノコト〜空き地〜」という名のカフェがあり、イベントスペースとしても活用されているそうです。私が行ったときは営業時間外だったので残念。

店長の古田さんに挨拶すると本を並べている最中で、「ちょっと待ってくださいね」とのこと。その後、しどろもどろで話す私の話をきちんと聞いてくださり「いいですよ」とすぐ答えてくれたので、「え? 仕入れてくれるんですか?」と逆に聞き返してしまいました。(もっと苦労すると思っていたので)

下の写真が古田一晴さん。ウェブで検索してもたくさん記事が出てきますが、出版をテーマにした書籍にも、たびたび紹介されている店長さんです。「名古屋に古田あり」とうたわれて、業界では知らない人はいないそうです。

私も出版レーベルをつくるにあたり、いろんな本を読んだので、お名前は存じておりました。お目にかかれて光栄です。古田さんの本『名古屋とちくさ正文館』を購入し、サインをしてもらいました。
「僕はもともと、映像をやっていたんです」と古田さん。
本の帯にはこんなコメントが書かれていて、なるほどと納得。

「お客様と棚のどこかに一ヵ所でも方向性が合致すれば、印象づけになります。それだけに、僕は品揃えや、この本の横にこれを……といった並べ方など、どの棚も印象づけできるように仕掛けをしています。それが毎日の仕事です。店頭の日常こそがライブみたいなものですよ」

「ちくさ正文館は人文、文芸、芸術にジャンルをしぼり、どこにもあるものは置かない方針をとっている。それもあって、固定客の層が広い。だから目的の本以外にも刺激的で、思わず手にとってしまう本をセレクトした棚を心がけ、リピーターとしてのまたの来店を誘うようなインパクトを常に与えたいと思っている」

本にそう記してあるように、見回すと刺激的な書籍がいろいろありました。思わず手に取ったのが『スワニミズム』。スワニミズムとは諏訪をフィールドにしている信仰史、信仰思想、史学、考古学、民俗学等の研究会、とのことです。
これが噂のスワニミズムか。
実物は、はじめて見ました。しかも特集「ミシャグジ再起動」って……。かっこいい。まさに再起動ですよね、時代は。

ミシャグジと言えば、店内にはこちらの本もありました。名古屋の出版社・人間社から出ている『日本原初考』「古諏訪の祭祀と氏族」「『古代諏訪とミシャグジ祭政体の研究」の2冊です。
なんてマニアック!
ミシャグジさま、謎です。
諏訪もまた、熊野と同じように古層に手が届くような土地なのだろうと想像します。

やっと本を読む時間の余裕ができつつあるので、こちらもじっくり読ませていただきます。

先週、ちくさ正文館さまに『狼煙』を発送させていただきました。あのお店のどこかに『狼煙』が並ぶのだと思うとわくわくします。
古田さんのライブの脇役で、ちょこっと登場させてもらえたでしょうか。(きたうら)

照井壮平写真集『狼煙』表紙

【ちくさ正文館】
愛知県名古屋市千種区内山-3-28-1
Tel:052-741-1137
営業時間:10:00~21:00(日・祝日:~20:00)
交通アクセス:JR中央線千種駅地上出口より徒歩3分
地下鉄東山線千種駅4番出口より徒歩3分
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